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zoom RSS 押井守と鈴木敏夫「イノセンス」

<<   作成日時 : 2007/09/24 13:10   >>

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DVD「イノセンス」に付属しているメイキングなどを収録したDVDに
監督の押井とプロデューサー鈴木の対談なるものが入っている。
これがおもしろい。
名コンビというか迷コンビというか。
二人の空気がひしひしと伝わってくる。
「ナウシカは非常に大きなもの(人類の未来)を背負っていたんだよね」
と鈴木が言えば、
「あの頃のアニメはみんなそうだし、
第一、どうしてあんなに主人公が元気なのかよくわからない」
と押井が返す。続けて、
「そういう宇宙とか人類とかの大きなものと、あの女の子が好きなんだけどうまく伝えられない、というような小さな卑近なものとがアニメの二つの道で、それ以外というか、その中間みたいなものがない」
とぼそぼそとだがしっかりと主張する。
「主人公の悲喜こもごもを通して観ている人が共感する」
と鈴木が言うと、
「そういうものがウソ臭いんだよね」
とこれまた押井が返す。
そういう按配でどこにも接点がないように見えるが、
ラスト間近で
“結局、宮崎も押井も形は違えど家族を描こうとしているんだ”
というところに帰結する。

押井の描いてきたものは、宇宙人のラムちゃん、ロボットのパトレイバー、サイボーグのバドー、となっている。
人と人以外の者との関わり、から、人とモノが融合したもの、になって、
とうとう人はまったく出てこないという世界になった(イノセンスでは脳みそだけ)。

人は一人では生きていけない。が家族という概念が崩壊している。
それに代わるものは機械なのか犬なのか、それとも他にあるのか。
というようなテーマがあるわけだ。

キャラクターにあくまで拘り、そこから対談を広げていきたい鈴木に対して、
押井はあくまで自分の頭の中にある世界を基点としてバサバサと切り捨てていく。

ぼくは表現者と呼ばれる人を何人か知っている。
いろいろと話もしてきた。
なので押井のような人を見ているとあちこちの知人が重なる。
相手を気遣ってある程度話を合わせる。その度合いはまちまちだけど、
その芯にあるものはすべて押井だといっていい。
自分の世界を外へ外へと広げる。のが本質。

それに対して、
提示する表現者と受け取る大衆の間を橋渡しする役目である鈴木は
表現者が表現するものをできるだけ咀嚼して、
大衆が受け入れやすいように紹介してやらなければならない。

大衆はわけのわからないものを観に行くほどヒマじゃない。
「スパイダーマン」を観に行くのはアクションがあってラブがあって、
ハラハラしてドキドキもさせてくれるだろうと知っているからである。

鈴木がいつも担当しているのはジブリの作品で、
これは方向性はもう決まっている。
それをより的確に、より以上にインパクト強く大衆に手渡しする。

料理に例えたらうなぎとか、うどんとか、お好み焼きとか、
ぼくらが口にしてきた、味を知っている、慣れた食べ物で、
こんなにおいしいお好み焼きですよ、のおいしいという部分を
どうおいしいのか伝えていけばいい。

ところが押井の場合は、
まずお好み焼きなのかうどんなのか。
というところからスタートしなければならない。

辛いの甘いのかどころではない、冷たいのか熱いのかさえよくわからない、
それぐらいの難物である。押井作品は。
少なくともフツーの人にとっては。

そこで鈴木が選んだ宣伝路線は
“愛のあるハードボイルド調”であった。
それを期待して観てみたら“あれっ???”であった。

ぼくが期待していたのは、
「ブレードランナー」に日本的な哀愁? を加味したものだったが、
人形的なものを観念的に賛美した思念の塊であった。

一つの作品の中で一つあれば十分だろうという観念的なシーンが
これでもかというほど出てくる。しかもセリフだけで^^;
隠喩、暗喩、などのオンパレードである。

ごくごく最初のカットで主人公のバドーが
おかしくなった人形を蜂の巣にする場面があるが、
ぼくなどはココでもう詰まってしまった。

どう考えても説明不足だ。

脳だけの機械であるバトーや女サイボーグが
どういう社会の中でどんな風に生存しているのか。
という部分がまったく描かれていない。
最後まで触れもしない。

正直がっかりした。

実は最初のテロップのところで、
監督、脚本、押井守と出た時点で危惧を抱いた。

アメリカその他の海外でも監督脚本兼任していても
プロフェッショナルな娯楽作品がたくさんあるが、
日本にはない。兼任していると作家性の強い作品ばかりだ。

で「イノセンス」もその列に入ってしまった。

「機動警察パトレイバー」
が個人的に押井作品の中でいちばんスキなので、
そのテイストがあるんじゃないかと思っていつも観る。
がそれ以上の作品は今のところない。

それでは「パトレイバー」を離れて観てみると、
セリフがだめだめ(ストーリーも)なのを無視するとまあまあかな。
ビジュアルと音響面。

そんなに娯楽性を盛り込めとは言わないので、
カンタンなストーリーと常識的なセリフにしてもらいたい。

それでも十分に押井テイストは固守できるはず。

ぼくのように実写ばかり観ていて、
たまーにアニメも観るという人間(子供抜きで観るのは五年ぶり???^^;)に向けて、
あと一作品わかりやすいのをお願いしますよ、押井監督。

もっとカンタンにいうとパトレイバーみたいなのを
あと五本ぐらい作ってください。とお願いしたい。
脚本は伊藤和典さん(必須)で。

OVA版の「ブラックジャック」みたいなのでもいいです。

アニメで観るのはブラックジャックとパトレイバーだけなので、
どうしても飽きてくるんですよねー。

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